「ランドセルはどうやって作るのですか?」とよく聞かれます。
ほぼ一年掛って作っていますので来店されても一度にすべてをご覧いただけません。
そこでこのページでは、少し専門用語も入りますが、革製ならではの工程も含め、ランドセルの裁断から完成までを順を追ってご覧いただきます。
コードバンランドセル SUA-17K
弊社の一番人気のランドセルです。どこから見ても、丸く優しいラインで出来ています。 内張りも総アメ豚張り仕様で、カブセはコードバン、胴体や背中は牛革。素材も吟味してあります。
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型入れ(牛革) かたいれ・ぎゅうがわ
天然素材である牛革は合成皮革と違って大きさやカタチも様々。 型紙を適材適所に配置する作業を「型入れ」と言います。 貴重な天然素材を無駄にしないように! 熟練の目と感覚が必要とされます。 -
型入れ(アメ豚) (かたいれ・あめぶた)
牛革の他にカブセの裏や内装には天然の豚革(アメ豚)も使用しています。アメ豚というのは一番表の部分(吟豚とも言います)です。牛革のように背中でカットせず一頭分です。 -
裁 断 (さいだん)
「型入れ」された牛革は裁断機(プレス)でランドセルの各パーツの抜き型(刃型)で裁断されます。牛革がランドセルの部品に変わる瞬間です。
約80種の革の部品がここで裁断されます。 -
大漉き (おおずき)
弊社で使用している牛革は初め約2.4mmの厚さがあります。 ランドセルの部品は使われる場所によって厚さが異なりますから、この大漉き機(SKIVING MACHINE)で漉き(スライスし)ます。 軽量化と強度を考えて、ぎりぎりの厚さを維持します。 -
コバ漉き (こばすき)
部品毎にスライスされた革はさらに端を薄くしたり自然に折れ曲がるように溝を付けたりして加工します。 これが「コバ漉き」です。
料理で言えば「下拵え」に当たる工程。この工程が実は最も繊細で「完成した時の出来栄え」を大きく左右します。 -
部品の製作 (ぶひんのせいさく)
弊社のランドセルは金具類まで含めると約200点の部品から出来ています。 パーツの点数も多く、春から夏にかけて多くの部品を作っていきます。 型ベルト、下ベルト、背中…。まるで革仕事のデパートみたいです。 -
カブセの製作 (かぶせ)
当工房では牛革製とコードバン製の2種のカブセを作っています。工法は大きく異なります。
特にコードバンは周囲をカンナがけし、ニスで仕上げています。 革の裁断面はザラザラしていますからカンナをかけて形を整え、下塗り、中塗りをしたあと削って、さらに中塗りを2回仕上げ塗りを2回繰り返してようやく滑らかなコードバンのコバ部分が完成します。 -
コードバン の裁断 (こーどばん さいだん)
これがコードバンです。意外と小さい!!
馬の臀部にある、コードバン層という硬く緻密な部分だけを切り抜いたものです。 原産地はフランスとポーランドだとか、これを日本で鞣し(なめし)、塗装したものだそうです。 -
コードバン カブセの製作 (こーどばん かぶせ)
「今どき、よくそんな手間のかかる仕事を!」とよく言われます。
カブセの周囲を鉋(カンナ)がけしている時です。もっと簡単に削る機械も持ってます。でもこの方法が一番コードバンを活かす方法だから…
このあと下地を作りニス塗りと磨きを繰り返します。 -
前段の製作 1 (まえだん 1)
ランドセルを開けるとみえる階段状の部分です。
この工程は複雑で 職人の腕の善し悪しがよく顕れます。このような平らなテーブルのミシンは弊社ではあまり使用しません。 -
前段の製作 2 (まえだん 2)
立体になる部分は腕型のミシンでマチの部分を送り込むように縫い進めます。 完成した時ふっくらと丸みをもたせるようにさせていためです。それだけに少しのコツと熟練?が必要!! -
前段と大マチの合体 (まえだんとおおまち)
前段と大マチを合体させます。 別々に作ってきた各パーツが、急にランドセルらしくなる工程。 お客さまの要望はこの時点で内貼りを天然のアメ豚にするか、合成皮革を選択するかで、オーダーメイドがスタートします。 -
大マチの手縫い (おおまちのてぬい)
教科書の入る部分を大マチと呼んでいます。 弊社ではここを手縫いで仕上げています。 太い糸の両端に糸を 右手に菱錐を持って左右交互に 縫い進めていきます。ミシンと違い、擦れに強く糸が よく締まるのが利点です。少し時代遅れかな? -
口前の補強 (くちまえ ほきょう)
手縫いを終えた大マチと前段部をヘリ取りしてから 太糸のミシンで縫い補強します。 毎日、教科書やノートで削れる部分 ヘリは縫ってから内側へ曲げ込みますから スッキリ見えても3重になっています。 -
まとめ (まとめ)
作ってきた部品をひとつにまとめる作業です。 平らだった各部品が合体して三次元?の ランドセルらしくなる工程。 底部のヘリは補強のため二重に巻きます。 -
ヘリ取り/キザミ (へりとりときざみ)
背中の部分は接着面をヘリ取りし さらに下部は二重に補強します。 コーナー部は細かく刻むように処理します。 職人さんによって方法は各種ありますが、私は 「刻み捻」という1本の道具を使っています。 -
背中の目打ち (せなかのめうち)
手縫いの前に専用の機械で目打ちをします。 ミシン掛けのランドセルにはない工程! 弊社では底の部分と横の部分を2回に分けて プレスします。ピッチは約6mmと小さめ!縫い目を 細かく美しい仕上がりにするためです。 -
背中の手縫い (せなかのてぬい)
背中の周囲を手縫いします。ミシンがけと違うのは 「ぬいシロ」が狭いので結果的に教科書を入れる部分 を広くできます。太い糸の両端に針を付け、右手には ガイドの菱錐(ひしぎり)を握って、交互に縫い進めて 行きます。糸締まりが良く、素材を痛めないのが手縫い の特徴であり、長所でもあります。 -
肩ベルトの取り付け (かたべるとのとりつけ)
背中の周囲の手縫が終わると、いよい肩ベルトを取り付けます。 一人一人の肩や背中に合ったカタチが注文書に書いてありますから、慎重に取り付けて行きます。 -
仕上げ (しあげ)
まだまだ仕事は残っています。完成までのたくさんの工程で付いた接着剤や汚れをきれいに拭き取り、時間割や名入れをしたりしてようやく完成するのです。 -
完成!! (かんせい)
約220点の部品がひとつのランドセルにまとまって、箱に入りました。あとは子供たちの所へ出発!!
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